脚本
ストリートミュージシャンが移民の才能にあふれたピアニストと出会い、その腕と才能に驚き恋愛感情を持ちレコーディングしてロンドンに行くが、二人は元の鞘に収まって別れる話。ストーリーの心情はよりを戻さないの?と聞くと歌を歌って応える。各シーンのストーリーがオペラのように歌詞の内容で語られていく。
http://www.youtube.com/watch?v=qJjcZa1dYq0
映画分析感想
スタートのギターボックスの銭泥棒はどういう意味なのか。ミュージシャンの体力や優しさを紹介しているのかな。ストーリーは本ポンと関係ないが歌はうたっている。移民の彼女の押しが強く、掃除機修理も断っているのにやらせる。銀行の借り入れも交渉する。スタジオ契約では値切って交渉成立させる。そして音楽の才能がある。
銀行にレコーディングの融資を頼みに行った時、デモテープを聞かせると銀行員はギターを弾いてOKを歌うと言う演出。
彼からCDをもらうとプレーヤーも借りる押しの強さ。
銀行に金を借りに行く時、彼女の行きつけの古着屋で彼のスーツを買う。見てくれが悪いと相手が信用してくれない演出。
パーティーの乾杯も歌で乾杯。台詞を歌で表現するオペラのような映画。
葛藤はないがミュージシャンが世に出行く姿を追う映画。
恐ろしいほどの超低予算の小品(製作費は日本円でわず か1800万円)ながら、アイリッシュ魂や彼らの音楽の神が宿ったかのような奇跡の音楽映像。
スタジオ録音風景も素晴らしく、録音した曲のヒットを予見させる。
車のCDでスタジオ録音した音を確認するのは理解できる。映画やビデオも編集スタジオでは種類の違う6台以上のモニターで確認する。DVDを作った場合は手元にある複数のモニターやPC、TVなどの画面で映り具合を確認する。
DVDは配布すると顧客がどんな再生機器で観るかわからないため多種類の再生機器でテストするしかない。それでも古い再生機器だと再生できない場合もある。だから再生機器によっては読めない場合もあると必ず記述する。
彼 女の音楽才能に驚嘆して、別れにピアノをプレゼントする。彼女はラストシーンでピアノを弾いていて、カットは彼女が外を見ている様子を映して窓の外の景色 にパンする。彼女は音楽の才能を開花させていく予感。きっとロンドンから彼女に応援に来てくれと連絡してくるような気がする。彼女のピアノと作詞作曲才能 がないと困るだろう。
ラストシーンのBGMの歌は彼と彼女のデュエットになっていて二人の気持ちが通じ合ったことを演出。
彼女は親がオーケストラのバイオリン奏者で指を痛めた。娘には指を痛めないピアノを習わせた。親から本物の技術を教え込まれた子供は凄いと感じる。
愛は愛でも恋愛ではないので目的のSEXには流れない。音楽を愛する心が通じ合ったことを表現している。
恋は終わりを告げて二人は微笑んで別れる。このようなラストで好き合った二人が別れてお互い元の鞘のペアに戻る映画は珍しい。
素晴らしいミュージック映画。台詞のオペラ演出。
監督の作り込みチェックリスト 監督ジョン・カーニー
区分 |
NO |
項目 |
内容 |
脚本 |
1 |
タイトル |
ONCE ダブリンの街角で |
2 |
主題 |
(何についての映画か、問題、主張する思想内容) ふたりをつなぐ、愛より強いメロディ |
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3 |
テーマ |
(主題についての考え方、メッセージ、見解) 人生でたった一度、心が通じる相手に出会えたら |
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3.5 |
脚本 |
直線構造 |
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4 |
場所 |
アイルランド ダブリン |
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5 |
時代 |
2006年の作品 |
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6 |
季節 |
冬 |
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7 |
期間 |
10日程度 |
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8 |
モチーフ |
(反復で表す) ミュージシャンの演奏。彼女の素晴らしいピアノ演奏 彼女の押しの強さ、行動力 移民の共同生活(隣から二回テレビを見に部屋に来る) |
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9 |
隠喩 |
(別のもので意味を伝える)
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ビジュアルデザイン |
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照明 |
(キーライト、フィルライト、バックライト) ダブリンの街角でストリートミュージシャンが演奏するカット、左右には明るいショーウインドウがありその間の暗い通路でボロギターを弾いている。明るくない生活環境を演出。 バスの後席でギターを弾くシーンはバスの後ろから光線が入り、バックライトになって美しい映像。 彼女の住む安アパートの階段は明かりがなくてうす暗くて生活環境が厳しい演出。 彼女はいつも明るく生きていて、顔に影が入ることはない。 |
11 |
色使い |
(コントラスト、配色) 楽器店でピアノを借りて低シーンは、背景にギターが美しく飾られている。 彼女が店に乾電池を買いに行ったシーン、店の中がカラフルで美しい。物語の映像は暗いシーンが多いが生活から離れると明るい世界があると言う演出。 |
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12 |
主役の色 |
(どのように目立たせているか) 主役の顔には口と顎に髭を生やしている。 |
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13 |
カラー白黒 |
カラー |
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撮影 |
14 |
フレーム |
(スタンダードサイズ、ワイドスクリーン、シネスコープ) ワイドスクリーンサイズ |
15 |
配置 |
彼女の部屋に移民の3人の若者がテレビを見に来るがソファーに一列に座っていて、団結して共同生活している演出。 移民に限らず外国人は大体定期的に集まるサークルに入って情報交換して助け合っている。あるいは同じマンションにまとまって住んでいる。また、首都で暮らす地方出身者も同郷の飲み会などで情報交換して助け合っている。故郷から離れて暮らすというのは同郷の者が助け合っていくのが自然の姿。故郷納税もありますから。 |
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16 |
オフスクリーン |
(スクリーンの外を描く) |
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17 |
カメラワーク |
(ロング、フル、ミディアム、ウエスト、クローズアップ、超クローズアップ) 主に手持ち撮影。 花売りの女性が掃除機をし遊離してほしいと言って掃除機を引っ張って犬をれてくるように歩いてくるシーンが未見性に溢れている。ストリートミュージシャンと連れだってまた掃除機を引っ張って歩いていくシーンはおかしい。 楽器店でピアノを借りて弾くシーンは手持ちのカメラが曲に合わせて揺れてリズムをとるような画像。 スタジオ録音したCDをカーステレオで聴くために海岸へ繰り出す。砂浜の朝日が昇るシーンが美しく、これからのヒットを予感させる演出。 彼女とバイクで丘の上に行き海岸線を見下ろすシーンは広大な海岸線で美しいカット。 デートコースなのかな。 ロンドンに彼女を連れて行くのをあきらめて、彼女に例の楽器店でピアノを購入してプレゼントする。彼女の亭主が戻ってきている。親子の生活風景、彼女のアパートにピアノが届いて彼女が喜ぶ。そしてピアノを弾くシーンを窓の外からズームでとらえて、街並みにパンして終る。その間彼と彼女のデュエットがBGMで流れる。
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18 |
アングル |
楽器店で彼女がピアノを弾くのを聞いて、その才能に驚嘆して彼が屈みこんで、ピアノを弾く彼女より顔が下に来る、かつ彼女が手前で大きく映され彼女の力関係が上になったことを演出。 ミュージシャンは基本的に仰角で撮影しており、大切な存在として扱っている。 スタジオの録音エンジニアは当初変なバンドの相手をさせられていると電話していたが、録音が始まると曲の素晴らしさに驚き態度が豹変して好意的になる。 楽器店でピアノを弾くシーン、彼女の背景はメンデルスゾーンを弾いているのに写真はブラームス(多分)とモーツアルトと言うのはどうして? |
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19 |
主観ショット |
(本人目線) スタジオ録音の休憩時に男性が彼女が高級ピアノを華麗に弾く姿を見るカット。そしてロンドンに一緒に行こうと誘うが、母も一緒にと言うとその話は途切れる。 |
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20 |
スローモーション |
なし。 |
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編集 |
21 |
スーパーインポーズ |
(別の映像を重ねる) 二人がランチを食べている時、通りからの撮影でガラス越しに二人をとらえるが、通りを歩く人がガラスに映っている。街の喧騒を演出。 |
22 |
リアクションシカット |
(加害者、被害者) |
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23 |
ディテールカット |
(目や手) |
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24 |
カットアウエイ |
(別のカットを挟む) スタジオ録音風景と関係者のパーティの様子がカットバックされて楽しく録音していることを演出。 |
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25 |
カットバック |
(全く別の状況に交互に切り替える) ストリートミュージシャンの元彼女の映像はPCで動画を見ているシーンにして現在の映像とカットバック。 こんな方法もあるんだ。
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26 |
モンタージュ |
(裏の人格を見せるなど) 掃除機を犬のように引っ張って歩道を歩く姿で、目的のために突き進む意思の強さを表現→意識に残るシーン |
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27 |
カラコレ |
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音響効果 |
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効果音 |
第80回アカデミー賞歌曲賞受賞。 各シーンに歌のBGMを入れている。 彼女がスタジオのボールドウィンのピアノで弾く曲は素晴らしい。松居慶子のピアノのよう。 BGMはシーンをまたぐ場合もある。歌を主体にして映像を乗せている感じ。 |
29 |
沈黙 |
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30 |
モンタージュ |
(音と音、並列繋ぎ、対比繋ぎ) これはミュージック映画。バイクで高台から海岸を見に行くドライブ以外は全シーンに歌が流れている。バイクのシーンはバイクの音がBGM。 |
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31 |
サウンドミックス |
(音の重ね方) スタジオ録音で10分間休憩があり、隣の部屋の高級ピアノで彼女が作曲した曲を弾き語りするが、素晴らしいピアノ曲で「松居慶子」をすぐに思い出スメロディーだった。 |
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モチーフ |
(同じ音の繰り返し) 彼女の素晴らしいピアノ |
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感想 |
33 |
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前掲 |
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